Environment(環境)への取り組み

気候変動課題に対する認識

「パリ協定」(2015年)、「IPCC報告書」(2018年)などにおいて示されるように、気候変動の進行は科学的事実であり、気候変動の進行により、台風・豪雨の激甚化、熱波や干ばつの頻発、世界的な海面上昇の進行などの気候災害の拡大が予想され、また、気候変動を緩和するための全世界的な取り組みとして、温室効果ガスの排出削減に向けた枠組みの設定や排出規制の強化など、社会経済の脱炭素化への移行が予期されます。このように、気候変動の進行は自然環境と社会構造に劇的な変化をもたらし、重大な影響を与える課題となっています。
気候変動がもたらすリスクと機会について識別・評価・管理を行い、事業のレジリエンス(強靭性・回復力)を高めることは、本投資法人が中長期にわたり安定的な収益を確保し、安定的な分配金の配当および投資主価値の最大化を図るためにも必要不可欠な事項であると認識しています。

基本方針

本資産運用会社では、2021年8月に、気候変動に関するリスクと機会への対応、および気候関連課題への事業・戦略のレジリエンスに係る取り組みの方針を定める「気候変動への取り組みに関するガイドライン」を制定しました。
パリ協定で定められた国際目標を支持し、気候変動の緩和に貢献するため、温室効果ガス排出の削減に継続的に取り組むことを基本方針とし、本ガイドラインに基づき、気候変動に関する取り組みの推進を目指しています。

気候変動への取り組みに関するガイドラインPDF(248KB)

気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同表明

本資産運用会社は、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)*注1の提言に沿った気候関連リスクの開示による透明性の向上を目的として、2022年1月にTCFD提言への賛同表明を行いました。また、日本国内における多くのTCFD 賛同企業・団体が参加するTCFDコンソーシアム*注2にも参加しています。

TCFD

  • 金融安定理事会(FSB)により、気候関連の情報開示および金融機関の対応をどのように行うかを検討する目的で設立。気候変動は世界経済にとって深刻なリスクとし、企業等に対して「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」について把握・開示を推奨する提言を公表。
  • 日本国内における多くのTCFD賛同企業・団体が参加し、気候関連課題に関する情報開示のあり方やその活用の仕方等を議論する目的で設立された組織。

TCFDが推奨する開示項目

ガバナンス

本資産運用会社では、サステナビリティに関する取り組みの実効性を担保するため、代表取締役社長を委員長、投資運用部長、財務部長、企画・管理部長を構成員としたサステナビリティ委員会を、また、その事前協議機関としてサステナビリティ事務局を設置しています。
なお、気候関連課題に係る最高責任者は、サステナビリティ推進に係る最終決定権限者である代表取締役社長とし、気候関連課題に係る執行責任者は、投資運⽤部長としています。
気候変動による影響の識別・評価、リスクと機会の管理、適応と緩和に係る取り組みの進捗状況、指標と目標の設定等の気候変動対応に関する事項は、サステナビリティ事務局から気候関連課題に係る最高責任者に対して定期的に報告され、サステナビリティ委員会において、各議題について審議・検討されます。
サステナビリティ推進体制の詳細についてはサステナビリティ推進体制よりご覧になれます。

戦略

リスクと機会の識別

本資産運用会社では、年に1回を目途として、当社および本投資法人に係る気候関連のリスクと機会の識別および評価を実施しています。

想定される将来像 財務的影響 時間軸 リスクと機会の識別
移行リスク 社会経済が低炭素・脱炭素に移行することにより生じる事業上の影響
政策・法
政策的に低炭素・脱炭素を推進することによる規制強化等
炭素税の導入、排出量取引制度の導入 炭素税や炭素クレジット購入費用等のコストの増加 2030
(中期)
リスク
建築物の炭素排出量総量規制、省エネ基準の強化 レトロフィット(エネルギー効率を高めるための既存建物の改修)費用の発生 2030
(中期)
リスク
建築物のエネルギー効率評価に関する表示制度や報告制度の義務化、厳格化 認証関連費用等の発生 2030
(中期)
リスク
テクノロジー
低炭素・脱炭素に関する新技術開発、その主流化
省エネ技術・ZEB(ネット・ゼロ・エネルギービル)技術の進化・普及 省エネ性能の高い設備導入・ZEB化による光熱費の削減 2030
(中期)
機会
省エネ性能の高い設備導入・ZEB化による費用の増加 2030
(中期)
リスク
市場
エネルギー価格の変動、サービス需要の変化など

評判
ステークホルダーからの評判のネガティブな変化
資金調達における投資家・金融機関からのESG要素やポートフォリオの環境性能に関する要求水準の高まり 資金調達手段の多様化、投資家層の拡充 2030
(中期)
機会
資金調達コストの増加 2030
(中期)
リスク
テナントによる環境性能を重視した物件選び 環境性能が高い物件の賃料の上昇 2030
(中期)
機会
環境性能が低い物件の稼働率の低下 2030
(中期)
リスク
テナントによる防災性を重視した物件選び 災害リスクの低い物件の賃料の上昇 2030
(中期)
機会
災害リスクの高い物件の稼働率の低下 2030
(中期)
リスク
物理的リスク 気候変動が進行し、従来の気候パターンから変化することにより生じる事業上の影響
急性
事象に起因
集中豪雨、台風・洪水、高潮の増加 台風等による公共交通機関の運休等による営業機会の損失、建築物の浸水による営業機会の損失、修繕コスト及び損害保険料の増加 2050
(長期)
リスク
慢性
気候パターンの長期的なシフトに起因
海面上昇 建築物の浸水による営業機会の損失、修繕コスト及び損害保険料の増加 2050
(長期)
リスク
平均気温の上昇 空調コストの増加 2050
(長期)
リスク

リスクと機会の評価

識別されたリスクと機会について、気候変動の進行に関する不確実性を考慮し、1.5℃上昇シナリオと4℃上昇シナリオを前提に評価しました。評価の結果、影響度が大きいものについて、優先的に対策を講じていきます。

シナリオ分析の前提

参照した主なシナリオは、下表のとおりです。

4℃シナリオ 1.5℃シナリオ
移行リスク IEA(国際エネルギー機関)World Energy Outlook2020 SPS IEA World Energy Outlook2020 NZE2050
物理的リスク IPCC(国際気候変動に関する政府間パネル)第5次報告書 IPCC RCP8.5 IPCC第5次報告書
IPCC RCP4.5

シナリオ分析に基づくリスクと機会の財務的影響

4℃シナリオ 1.5℃シナリオ
財務的影響 リスクと機会の識別 影響度 影響度
移行リスク
政策・法 炭素税や炭素クレジット購入費用等のコストの増加 リスク
レトロフィット(エネルギー効率を高めるための既存建物の改修)費用の発生 リスク
認証関連費用等の発生 リスク
テクノロジー 省エネ性能の高い設備導入・ZEB化による光熱費の削減 機会
省エネ性能の高い設備導入・ZEB化による費用の増加 リスク
市場・評判 資金調達手段の多様化、投資家層の拡充 機会
資金調達コストの増加 リスク
環境性能が高い物件の賃料の上昇 機会
環境性能が低い物件の稼働率の低下 リスク
災害リスクの低い物件の賃料の上昇 機会
災害リスクの高い物件の稼働率の低下 リスク
物理的リスク
急性 台風等による公共交通機関の運休等による営業機会の損失、建築物の浸水による営業機会の損失、修繕コスト及び損害保険料の増加 リスク
慢性 建築物の浸水による営業機会の損失、修繕コスト及び損害保険料の増加 リスク
空調コストの増加 リスク

リスクの軽減または機会の実現に向けた取り組み

気候関連のリスクの軽減または機会の実現に向けて、以下のような取り組みを実施しています。

  • 環境負荷低減の取り組み(省エネルギーの推進、CO2削減への取り組み、節水の取り組み、廃棄物の削減)
  • 中長期的な脱炭素計画検討のための建物診断の実施

これらの取り組みを通じて気候変動および気候関連課題へのレジリエンスを高めていきます。

リスク管理

本資産運用会社では、サステナビリティ委員会で審議された重要な気候関連のリスクと機会について対策案を策定し、全社リスク管理プログラムにおいても考慮し、リスク識別・評価・管理プロセスの統合を図っています。

指標と目標

本資産運用会社では、リスクの軽減または機会の実現に向けた取り組みにあたっては、KPIを定義し、その管理のためにモニタリングおよび目標設定をしています。
気候関連リスクの軽減のためのKPIとして定めている、エネルギー消費量、GHG排出量、水使用量、廃棄物排出量に関する目標および実績推移についてはESGデータ集よりご覧になれます。
目標およびKPIについては、社会変化に応じて柔軟に見直していきます。なお、GHG排出量等の削減目標については、シナリオ分析の結果を十分に検討し、長期的目標設定を改めて実施する予定です。

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